くすんだ空を見上げれば
「あ…」
駅に着くと神谷は既に来ていた。


「お待たせ…」
駆け寄ると神谷はニコッと笑い「ってかメール返事返そうよ」と、困惑気味に笑った。


「私…」


言葉が出なかった。

メールが出来ないなんて恥ずかしい。


でも…そんな事も言ってられない…。




「私ね、メールのやり方知らなくて」




「そっか。次からは電話にするよ」
神谷は優しく笑った。

何でか紅葉を思い出させた。

恥ずかしいと思った私もおかしいけど
神谷の言葉もおかしい…。
普通はバカにして笑うんじゃないの…?






「聞いてる?」


神谷の声で我にかえる。



「どっか行きたい所ある?」


どっかって言われても遊ぶ場所や、する事なんて私が知ってる訳もなくて。



「神谷に任せるよ…」
それしか言えなかった。


神谷は私が何を言ってもバカにしたり笑う事はない。

真剣に聞いてくれる。

それがどことなく紅葉を思わせて不思議だ。


「う~ん。
今日は俺が勝手に決めたコースで行くから、次はかえちゃんだからね!」

「次…?」

「次遊ぶ時だよ!」

今日だけじゃないんだね…。

友達…か。



< 22 / 123 >

この作品をシェア

pagetop