くすんだ空を見上げれば
「映画館に行く?」
「うん」

映画館なんて行った事ないや…。
そもそも映画自体あまり興味なかった。







「何にする?」
映画館に着いて私達は広告の前にいる。



初めて来るけど…
なんだか上品な感じで凄く静かで、人は多いけど
賑やか、その言葉とはかなりかけ離れていた。





ポップコーンのバターの香りが漂い
自然にそちらへと目が行ってしまう。



「神谷が決めていいよ」
私は落ち着きなく周りをキョロキョロ眺めていた。



「ホラーと恋愛ならどっちが良い?」
恋愛はあまり興味がない。
「ホラーかな」

「あ、丁度始まる!チケット買って来るよ」

神谷は急いでチケットを買いに行った。


ジュースとポップコーンも買ってくれた。


初めての事だから少しだけ
嬉しい緊張をしている自分がいる。



薄暗い中足元の光だけを頼りに神谷の後へ付いて行く。


広々とした館内にも驚きだが、でかいスクリーンにはもっと驚いた。



みんな静かなので私も静かにポップコーンを食べていた。





だけど後々ホラーを選んだ事を後悔した。




迫力満点で何度体が飛び上がったか分からない。


神谷は私を見て静かに笑う。


冷静に観れる方が変だ。



映画館慣れ、と言うのがあるのだろうか…?



まるで異世界だ。もっと早く映画館を知っとけば良かった…。

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