くすんだ空を見上げれば
電車に乗り地元まで帰っている。この後何処に行くか分からないが黙って付いて行った。



いつも私は空を見ても地面を見ても一緒って思ってたけど
今日は少し違うように見えた。
色のないモノがほんの少しだけ色付いたように…。




「かえちゃんは一人っ子?」
電車を下りると突然聞かれた。


「ううん。兄が一人居るよ」
「へ~!
いくつ?」

「神谷と一緒だよ」

「そーなんだ~」
「うん…」

「仲良いの?」


何でこんな質問するんだろうって思ったけど「仲良いよ」って紅葉を思い出して言ったら
顔がほころぶのが分かった。


それを見た神谷は「きっと優しいんだろうね」って笑って言ってくれた。



神谷の目にはもう
怖さ、なんて微塵も残ってなかった。





…?




あれ…?



「神谷…
髪染めたんだ…?」と今更言うと
プッと吹き出して笑った。

「三日くらい前にね」と笑いながら言う神谷を見て恥ずかしくなった。


前より金に近い茶になっている。


今更って…

私は本当周りを見てないんだ…と改めて思った。



「ご…


ごめんねっ」


「何が?」


「いや…
気付かなくて…」

下を向くと「あははっ」と笑う神谷。


「別に気にする事じゃないよ」

そう言ってくれた。


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