くすんだ空を見上げれば
またバイクに乗って海を眺めながら風を感じて帰った。

バイクに乗ってる間は何の会話もないけど
神谷と居る時間は温かくて楽しい。



学校なんて
友達なんて
必要ないと思ってた。



何の為に?
そんな自問自答の日々の中、誰かが学校は勉強をする所と言った。

でも、そうじゃなかった。


私には、神谷と出逢うキッカケになった所だ。




人間なんて、と
ひとくくりにまとめちゃいけない事を
紅葉と神谷の存在が教えてくれた。



私は良い事や悪い事を色々と思い出したけど
紅葉が居なかったら
神谷を大事に出来なかったと思う。




それは私にとっての大きな一歩を踏み出すキッカケになった。



だけど自問自答は変わらない。
疑問だらけの日々。




家まで送ってもらって、お風呂や夕飯を終えてから部屋で電話を待っていた。




「入るぞ?」
紅葉は私が返事をしなくても勝手に入ってくる。
むしろ扉を開けてから言っている。



「あれ?どっか行くの?」
「うん、神谷と」

「そっか。煙草吸わせて」
また返事も聞かずに窓を開ける。


「付き合ってんの?」
紅葉は背を向けたまま意味の分からない事を言った。


「付き合う?
何が?」

「神谷と付き合ってんの?」
「何それ。友達だよ…?」


「そっか。ま、頑張れよ」



…付き合うって彼氏と彼女って事だよね?
変な紅葉。


何でそう思ったんだろう。

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