くすんだ空を見上げれば
授業が全て終わった。
久々にずっと教室に居たから窮屈な思いをした。




みんなは帰って行く。
補習って…ここに居れば良いのかな…?
先生の話しとか聞いてなかった…。





ポツンと残る私は既に三十分待ち続けていた。





廊下をバタバタ走る音が聞こえる。



近付いて来たと思ったらガラッと教室の扉は勢い良く開いた。


「補習忘れてた~」と言いながら入って来たのは女の子。


…補習って言った?
この人もか。机でガタガタと教科書などをまとめている。

もしかして教室じゃないのかな…。

勇気を振り絞ってその子に声をかけてみた。

「あのっ!」
シーンとなる教室。



「…
私に言ってる?」



普段誰とも話さないからか驚いた顔をされた。




「補習ってどこでやるの?」

「視聴覚室だよ。

…一緒に行く?」

視聴覚室なんて私は知らない。

「うん!」


神谷と話す時とは違ってかなり緊張したが
話せて良かった。




「私の事、沙恵って呼んで?私も楓って呼ぶから…」

「う…
うん」

「でも珍しいね!あまり教室に居る事なかったし、誰とも話さないじゃん?」

「まぁ…」
ちょっと緊張するけど
友達ってこうやって始まるんだよね…。



「私と楓って中学一緒なんだよ!家も近所だし。
知ってた?」

「えっ!?そうなの!?」

「あははっ
やっぱ知らないかぁ~」

「ごめん…」


中学って…
私は本当に周り見てないんだ…。



「今回の補習ってサボってる人だけなんだって!」
「そうなんだ?」

「うん。テストの点が悪い人は夏休み補習らしいから今のうち頑張らないと」

「沙恵もよくサボるの?」
「楓程じゃないよ!もう着くから、後でまた話そ?」

「うん…」


遅れた事を二人で怒られて少し恥ずかしかった。



でも補習がなければ沙恵と話す事はなかったかもしれない。



私達を含め、男子四人の六人で補習が始まった。



日ごとに五教科を、教科書見ながらテストみたいにやっていくらしい。
だから楽だった。



サボってるとは言え、やっぱり私は出来る。


「もう終わったの?」
沙恵が小さい声で話しかけてきた。

「うん。簡単だよ」
「私は数学が出来なくて…」

「頑張ってね」


他の人が終わるまで待ってなきゃいけないのがダルいが
みんな頑張っている。


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