くすんだ空を見上げれば
「今日はバイクじゃないんだね?」
「あー、俺この辺に引っ越して来たんだ!
かえちゃん家から近いんだよ!
今はちょっと駅の方行ってたんだけどね」
「そうなんだ!」
引っ越しか。それで紅葉と連絡とれなかったのかな?
「かえちゃんの家もう少し奥行った所♪
しかも念願の一人暮らし♪」
一人暮らし…?
「学校は!?」
「ちゃんと卒業するよ」
「大変だね…」
「仕送りあるし、バイトも始めるんだ♪
自分がしたくてするから大変じゃないよ」
私が知らないうちにそんな事があったのか…。
「でも二日会わないだけで、かえちゃん変わったね?」
「えっ?」
「友達居なかったじゃん?」
「まぁ…
色々と…」
神谷のおかげだよって言いたいけど…
言えない。
「かえちゃん表情柔らかくなったよ」
そう言った神谷の横顔は少し寂しそうに見えた。