くすんだ空を見上げれば
朝は清々しく起きて、柄にも合わず鼻歌をリビングへ響かせながら二人分の朝食を作っていた。
紅葉は帰ってないみたいだけど、私が作るのを知ってるから昼にでも帰ってくるだろう。
…そう言えば
昨日神谷が会えるよって言ったの…
何でだろう?
私サボれないのに。
でも、もしそれが嘘であっても
その嘘は嬉しかったからいいや…。
「行って来まーす!」
誰も居ない家に向かって言うと
軽い足取りで待ち合わせ場所へ向かう。
「沙恵!おはよー!」
「あ、おはよ!
何か良い事あったの?」
「何で?」
「顔が嬉しそうだしいつもより明るいよ?」
「…」
その言葉にちょっと赤面…。
昨日神谷と会った事を沙恵に言うと
また自分の事のように喜んでくれた。
「良かったね!!もっとメールしちゃいなよ!!」
「でも…
最近覚えたばっかで…」
「メールくらい私が教えるって!!
会えない分、メールでやり取りしなよ♪」
「…」
言うのは簡単だけど、メールを打つのは緊張する。
「おはようとか、今日も学校頑張ろう、とかさ!」
「でも…」
私がそんな事送ったらおかしく思われないかな?
心臓がバクバクしてきた。
「ね、先輩は学校までどう行ってるの?」
「知らない…」
引っ越してきた訳だし、私達と同じでバスなんだろうか?
でも神谷がバスに乗るなんて似合わない。