くすんだ空を見上げれば
ブロロロッ
後ろからバイクのエンジン音が聞こえて
道の端に避けて歩いていると
私の横で少しスピードを落とした。
「おはよ♪」
頭をポンポンっとしてから
また凄いスピードで走り出した。
一瞬の出来事で頭の中が追い付いてこないが
紛れもなく今のは神谷で。
「バイクで学校行ってるみたい…」
小さく赤面して言うと
「キャー!
ちょー良い感じじゃん!!もうラブラブ~♪」なんて沙恵ははしゃぐけど
別にラブラブではない。
なのに
私の心臓は壊れそうなくらい高鳴っていて
こんなのは人生で初めてだ。
「あんな優しい顔するんだね~」と
沙恵は感心もしていた。
授業なんてそっちのけで
私の頭の中にはさっきの神谷が離れない。
思い出すだけでドキドキしてしまう。
学校も前とは違って苦にならない。いつも一人で食べてた弁当も
昨日は沙恵とその友達と一緒に食べた。
話はしなかったけど一人で食べるよりも美味しかった。