くすんだ空を見上げれば


四時間目の終りを告げるチャイムが鳴った。

弁当を持って沙恵の側に行こうと思ったら
急に教室内が静かになった。


「沙恵…
みんな静かになったけど…」

沙恵は教室の扉を指差した。




「っっっ!!」

そこには物凄く怖い顔をした神谷が立っていた。



誰かに用事でもあるのかな?なんて思いながら神谷を見て
その後沙恵の顔を見ると、沙恵はニヤッと笑って私の背中をポンッと押した。


「えっ?」
「楓の事待ってんだよ!」
そう言って、早く行きな!って口パクで言った。


…私!?


たちまち教室中がザワザワしてきた。


なんかみんなの視線を感じる…。



恥ずかしくて下を向いたまま神谷に近付く。





「やっと来た!
ほんっっっと一年ってうるせーな!
かえちゃん屋上行こ?」


「う…ん」

弁当と一緒に鞄を持って神谷の後ろを付いて行く。




屋上へ着いて、いつもの場所に座り、神谷の顔をチラッと見ると
いつもの優しい顔に戻っていた。


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