くすんだ空を見上げれば

ご飯を済まし部屋へ戻ると紅葉が帰って来た。


「お帰り!」

「おう。
何か俺に相談あるの?」


「神谷から聞いたの?」

「うん。
何?」


…私に聞かず煙草を吸い出した…。
まぁ良いけど。




「学校辞めたいなって思ってたんだけどさ…」


紅葉は眉間に皺を寄せた。




「あ…
でも辞めないよ!

最近楽しいし、神谷とも約束したし…」



「あぁ。なら良いけど。
辞めない方が良いよ。俺は後悔してるからな」

「…そうなの?」

「まぁな。色々やっぱ大変だよ。
仕事とか」



…仕事!?




「紅葉仕事してるの!?」
「あれ?言ってないっけ?
もう二年もやってんだけど!」




……知らなかった。



「随分前からやってるんだね…?
私ずっと遊んでるかと思ってたよ」


「ま、遊んでるけどな!
仕事って言うかバイトだよ。昼働いてんの。
今もバイト帰り。夜はほとんど遊んでるけどな」


「そうなんだ…」


だから昼とか家に居ないのか…。



ちょっと意外って言うか
私かなり失礼じゃん…。



「知らなくてごめんね」

「別に謝る事じゃないよ?早く家出たいから貯めてんだよね」


「…」



紅葉がこの家から出て行ったら…


そんなの嫌だな…。





「わ…私もバイトしたい!
私も家出たいし…
紅葉が居なくなるなんて…」

本当に嫌だ。あんな両親と三人になるなんて考えたくもない。





「バイトするか?
夏休みから入れよ!俺と同じ所でな!!
他は許さない」


「許さないって…
何で?」



「う~ん…
シスコンだから?」


「…」




「まぁ大丈夫だよ。楽しいぞ?
でも楓が一人暮らしするなんて、俺は反対だ」

「紅葉が居なくなったら私この家に居るの苦痛だもん…」



「そんなに俺が好きか?」


冗談っぽく笑って言う紅葉に私は真剣に
「うん」と答えると
紅葉は優しく笑って「そうか」と言った。



大事な家族だよ…
離れたくない。


寂しいよ…。



「まぁ何も心配すんな!」
「…」


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