くすんだ空を見上げれば
先に神谷からのメールを開くと
《ズボン履いたままで平気?》との内容だった。
きっとこのズボンを履いてる私は可笑しかったと思う。
《友達に言われて気付いたよ!ありがとう》と返した。
紅葉からは《俺のお気に入りズボンは気に入った?》ときていた。
渡すのも、このズボンを選んだのも、きっと面白がってたんだ…。
明日のサラダはピーマンとトマトのサラダにしよう。
《どうもありがとう。》
それだけ返して授業に取り組んだ。
やっと昼の時間になり
スカートの中で携帯が鳴ってる事に気付いた。
《屋上においで》と
神谷からのメール。
つい顔がニヤけてしまう。
別に急がなくても逃げやしないのに早足になってしまう自分がいる。
「フゥッ」と一息ついて扉を開けると神谷は煙草を吸いながら待っててくれた。
「お待たせ」
いつもの場所に座る。
「メール気付いてくれて良かったよ。
一年の教室は行きたくないし」と
嬉しそうに笑った。
「そんなに嫌?私も一年なんだけど…」
「嫌だよ。コソコソうるせーし」
「そっか。神谷って恐がられてるもんね」
「知ってたの?」
「あ、うん。友達が言ってたから…。
でも私は気にしてないよ」
買った弁当を広げて一口食べると
それを見た神谷もパンを一口食べた。
「あっ
ズボン脱いだんだ?」
少し笑いながら言う神谷。
思い出した私は「あれ紅葉わざとやったんだよ!」と怒りながら卵焼きをハシで刺した。
「優しいんじゃなかったの?」
意地悪に笑う神谷にちょっとドキッとする。
「優しいよ。朝食作ってくれたし。
こんな事初めてだよ!」
「そっか。何でだろうね?」と
意味ありげな顔で笑った。