くすんだ空を見上げれば
「何でお前いんの?」
さっきよりも低い声。
怒りが含まれている事が分かる。
「今通ったら紅葉君と会って~♪
神谷も来るって言ったから待ってたの!」
よく状況を把握出来なくて神谷を見ると
女の人は腕を絡めてベッタリくっついていた。
「触んな」
その腕を振り払う神谷。
それでも女の人は腕を絡めていく。
女の直感ってやつだろうか。
さっきまで気になっていた神谷の元カノだと思った。
絶対にそうだと思う。
「楓、こっちおいで」
いつの間にか立ち尽くしていた私は紅葉の声で我に帰り
紅葉の横に座った。
神谷の顔なんてまともに見れない。
怒っているのが分かるから。
とてもじゃないけど近寄れる雰囲気ではない。
あの女の人は凄いと思う。
でもあの人の事できっと神谷は私に対しても怒ったから
あの人の事嫌いなのかな…?
何かきっと過去にあったんだと思う。
「相変わらず冷たいね!久々に会ったんだから優しくしてよね」
優しく…
神谷は私に向けるあの優しい笑顔をその人にもしてたの…?
触らないでほしい。
嫌だ。こんな所見たくないよ。