くすんだ空を見上げれば
「どこ行くの?」
横に居る紅葉に聞くと「もう着いたよ」と、外を指差した。
「ここ?」
家からそんな離れた場所ではない。
むしろ、とても近所だ。
「神谷の家。暫くここに居よう」
「…えーっ!?」
神谷の家!?無理!!ムリムリムリ!!
「わ…私は友達の所行くよ!」
咄嗟に言ってしまった。
「友達?
そんな迷惑かけれないだろ?
多分一週間もすれば落ち着くから…」
無理だよ…。気まずいよ…。
家に帰ってから色々な事がありすぎて
どうして良いか
何が正しいか分からない。
正しい事なんてあるのだろうか。
「話もしたい。とりあえず家に入ろう」
「うん…」
荷物はそのままにしてもらって神谷の家に入った。
少し古めのアパートの二階。
2DKの一人で住むには十分な広さ。
リビングに案内してもらい、他の人は別室へと入って行った。
「ごめんな、急にこんな事になって。
本当は夏休み入ってから話そうと思ってたんだよな。
俺が家かりて楓が良いって言うなら一緒に暮らそうかと…。
親父とは話してあるんだ。前に話した時家に居たくないって言ってたし、俺も楓置いては出たくなかったし…
明日から家探して、色々と準備する。暫くここに泊めてもらおう?
学校もちゃんと行ってもらうし、家が変わるだけで後は何も変わりなくするつもりだから…」
一気にゆっくりと話終えた紅葉は申し訳なさそうに目を附せた。