くすんだ空を見上げれば

「えっと…。
じゃぁ、もうあの家には帰らないって事?」


「あぁ。離婚するんだよ。あの家も売りに出すと思う。
親父は、俺が楓を面倒見る事に賛成した。金で解決させられたんだ…。」



「でも紅葉は大変じゃない?
私は…
紅葉と一緒ならそれで良いんだけど…」


「仕送りは充分にある。二十歳になるまで二人分貰うし、当たり前の事だろ?
突然なのは分かってる。無理もさせるかもしれない。
だけど仕方ないんだ。二人で頑張ろう?」




今まで両親にはお世話になったと思う。
でもこんな形で家族が崩れるなんて思ってもなくて。



「うん」

その一言しか答えられない。


紅葉だって辛いはず。


私達はまだ若いから大変かもしれないが。



現実を受け入れていかなくては。









だけど


神谷の家に居る事は反対だ。






「家とか…
決まるまでどれくらいかかるの?」

「分からない…
この辺で良い所あれば良いんだけど。
一ヶ月以内には全部済ましたいかな」


一ヶ月…?



明日は土曜日だよね…
「友達に電話してみるね」


沙恵の家に、とりあえず土、日だけでも泊めて貰う訳にはいかないだろうか…?



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