くすんだ空を見上げれば


「でも楓のお兄さん、カッコ良かった!」

「うん」

そんなの分かってる。



私は両親の離婚や家出なんかより
やっぱり神谷が気になっていて
もう重症なのかもしれない。






「楓も先輩の所に居れば良かったのに」


「気まずいよ…。
さっきも複雑そうな顔してたし」

「色々分かったかもしれないよ?
しかも、その女がどうだろうと先輩の気持ちを優先するべきじゃない?」

「だって怒ったんだよ?何もないなら怒る必要もないと思う」


「う~ん。
話したくない事とか、触れてほしくない事はあるんじゃないかな?

今日も来てくれたんなら、ちょっとでも楓の事、想ってると思うよ?」


「紅葉の大親友だから来たんだよ」


そう。


私じゃなくて
紅葉の大親友だから…。




自分で言って傷付いた。






だけどそれは事実で。






あんな事聞かなきゃ良かった。






そうしたら怒らす事もなかった。




あの時両親が喧嘩をしなければ
あの公園であの人を見る事もなかった。




思い出すだけで苛々してくる。





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