黒白世界
「『死ぬ』って、どーゆう事なんだか」



手を下ろしても視線は戻さず。

ただ無心に飛行機雲を見つめていた。




………はずなのに、









「んー、じゃあ。いっぺん死んでみますかァー?」


「…………は?」



いつの間にか視界には、金髪青目のふわふわ系男児が映っていた。


それも、窓枠に腰を下ろした状態で、自分の目の前に。



思わずそれに驚いて目を丸くしたが、それも一瞬だけ。

すぐに"女"の【蓮菊 捺芽】へと自分を変えた。



「あの……迷子なの?お母さんはどこ?……あ、それともお父さんと一緒に来たのかな?」



にっこり微笑み口角を自然に上げ、胡座(あぐら)なんて毛布で隠す。


その一連の動作は"男"であることを隠すためでもある。そして、"女"の【ナツメ】を守るため。


ところがこのふわふわ系男児は「あはは~っ」と笑って指差してきた。


なんつー失礼な奴なんだ。

< 16 / 18 >

この作品をシェア

pagetop