2ndアルバム〜あの日の鼻歌〜
「…ふー」


嫌味なくらい晴れた空の下、俺は屋上のフェンスに寄り掛かった。

目下にはごちゃごちゃと並んだ町並み。

なんだかひどくだるい。



ここ何年かずっとそうだった。








いつからだろう、と、ぼんやり考える。





昔から神経質な人間ではあったけど、小学生の頃はそれでももっと明るく、友達と呼べるものもいた。






歳を重ねるにつれ、男女間の交流は減り、自分は段々人の醜さを知っていき、
失望し、軽蔑するようになった。



楠木は、そんな事を思ったりはしないのだろうか?







楠木は、純粋そうではあっても、無邪気ではなく、真っ白なだけの少女ではない。
俺が思ったりしているような事を、考えた時だってあったんじゃないか?


どうして今、彼女はあんなに平然としていられるんだろう?




諦めたから?

見限ったから?

電話の向こうの"あいつ"に出会った…から…?









どれも、しっくり来ない。

何故か、その答えが凄く知りたかった。



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