2ndアルバム〜あの日の鼻歌〜
憑き物が落ちたような気持ちがした。


今この時、初めて目が見えるようになった気がした。




楠木は、これを俺に伝えたかったのだと、なんとなく思う。
面と向かって言われても、俺は反発するばかりで納得しなかっただろう。




振り返ると、楠木がいつもの笑顔で立っていた。






「大学に行っても、絵は描くの?」


口は言葉にしきれなかった想いを置いて、勝手に質問していた。

彼女はゆったりと俺の横に来て、絵を眺める。


「どうかな…描きたくなったら、描くと思う」








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