2ndアルバム〜あの日の鼻歌〜
「あれ?キョースケ?」


県立美術館を出た所で後ろから金高の声が聞こえた。




「うわ、なんだよ」

「何よ"うわ"って…私は毎年美術部の入賞作品は見に来てるの!」

「…ふーん」





そのまま並んで歩き出す。
何年かぶりに、俺は幼なじみの顔をちゃんと見た。


長い睫毛。

色素の薄い髪と目。

今の高校生には珍しい化粧をしていない、しかしその必要を感じない顔立ち。

そういえば、昔はよくその派手顔が原因で男子にからかわれたりしていたっけ。


いつの間にか、落ち着いた女の顔になっていた。







「…なんかすっごい久しぶり」

「…………は?」

「二人でこうして歩くの。
小学校の時はあんなに仲良かったのに、騒がれてからはなんかつんけんしちゃって…」



「気にすることじゃなかったよね」と苦笑する金高は鼻唄混じりに歩を進める。



同じくらいだった背は、俺の方が頭一つ位大きくなり…











.
< 20 / 98 >

この作品をシェア

pagetop