2ndアルバム〜あの日の鼻歌〜
「お前は?原稿進んでんの?」



そう切り返されて私は罰の悪い思いになる。


私が所属してるのは文芸部。


原稿の締め切りは廻先輩達が作品を納入する日の4日後だった。






実の所、あまり原稿作りは進んでいない。



「……言葉になりたがらない子達が多いんです」


思わずいつもの癖で弱音を零すと、廻先輩は笑う。


「お前は伝えたい事を理解しきってねぇんだよなぁいつも」





先輩は私のこういう所を笑わない。
私が言葉や気持ちに愛着を持って接していることを馬鹿にしたことはなかった。

他の人には昔笑われて以来、絶対出さないようにしてるけど、先輩の前でだけは思ったままの話し方でいられる。





「そういえばうちのクラスの男子がお前の書いた話よんでびっくりしてたぜ?」



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