2ndアルバム〜あの日の鼻歌〜
ガタンッ


「ただいま〜」

「っ!」


玄関の開く音に心臓が跳ね上がり急激に意識が覚醒する。




「おかえりー」



バクバクと心臓は動揺するも、よくあることなのでいつも通りに声をあげる。

迅速にカッターと綿を片付けローテーブルに突っ伏し携帯をいじりだす。


少しして母さんが部屋に顔を出した。




「ただいま」

「ん。おかえり」



いつも通りの私の対応を見て部屋を去る。

見えないようにさりげなく死角にしていた傷を見る。



滲んだ血はまた小さな血玉を作り始めていた。







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