2ndアルバム〜あの日の鼻歌〜
「なんかさ、馬鹿らしくなるよ。
周りの奴らは欠点しか見えなくて、うんざりだ」





いつものように、俺は彼女に毒をありったけ吸ってもらう。

彼女は相変わらず微笑んだまま黙って筆を動かしていた。



「それ、今度の県展に出すのだよね?」

「うん、そう」



彼女の後ろからキャンバスを覗くと、その一面が黒と見紛うまでに深い色の蒼に塗られている。



「どんなのにするの?」



県で開く展覧会だから県展。
美術部のインターハイ的なものだろう。


「ふふ、内緒」



彼女はそう言って楽しそうに笑った。

彼女の絵は凄い。

技術があるのは勿論なのだがそこには確かに"何か"が宿っている。
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