2ndアルバム〜あの日の鼻歌〜
本人は言わないが中学の時も結構賞をとっていたようでパソコンで入賞作品を調べたらすぐに見つかった。



出身中学とここに来る前の高校、そしてここが随分離れた土地なのが少し気になった。




「楠木ってさ、好きな奴いるの?」




聞いてから、自分の俗っぽい発言に少し恥ずかしくなる。




「うん。いるよ」





意外だった。
なんとなく、彼女はそういうものには疎遠そうに見えたから。


「…意外だなぁ」

「恋愛感情の"好き"も、そうじゃない"好き"も、僕が話したり考えたりするところとは別の機関だもん。自然な事だよ」



いつもと何一つ変わらない、彼女らしい意見になんだか俺はほっとした。




「どんなにキライな要素があったって許せる相手は許せるの。それが"好き"って事だと思うな」









そう言って彼女は微笑った。

彼女の"好き"がどちらの"好き"かは、なんとなく聞きそびれた。
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