2ndアルバム〜あの日の鼻歌〜






俯く私の視界に、香奈子の室内履きと紺のハイソックスが入ってくる。


















「……死ぬ勇気もないくせに、"死にたい"なんて言う奴は、ただの馬鹿なんだよ」










頭上から降ってきた香奈子の声は、思った以上に優しくて、少し、震えていた。















「でも……

本当に死のうとする奴は、もっと馬鹿なんだよ!!」


















そう言って、私の上で鳴咽を漏らしながら、彼女は泣き始めた。

















「……死のうとしたわけじゃ、ないよ…」




弁解に聞こえるかも知れないけど、どうしても香奈子には知って欲しくて声を出したら、何故か涙が溢れてきた。




「じぶ…でも、わかんな…くて……」
< 78 / 98 >

この作品をシェア

pagetop