2ndアルバム〜あの日の鼻歌〜
うまく言葉が出てこない。

だから泣くのは嫌なんだ。


後から、頭も痛くなるし。







「あ、あた…し……どこか、変…なの、かも…」




"変"と言った途端、胸の奥が一瞬痛くなった。

受け入れてもらえないだろうことを告白するのは、身がすくむ程に恐ろしい。








「いつも…こんっな…事……してるわけじゃ、なくて…」









そこまで言うと、香奈子が私のすぐ前に座り込んだ。



「あたし、莉子だから、一緒にいたいんだよ…」




綺麗にした薄化粧が崩れて、少し目が小さく見えた。




「莉子に、近くにいてほしいんだよぉ…!」

「彼氏もいるのに、欲張りだよ…」






「男と女じゃ違うの!」と言って香奈子は本格的に声を上げて泣き出した。







私も、それにつられるようにして泣き続けた。
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