密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~

 だから、下北沢のレトロなカフェで春樹と同じカフェオレを飲んだ。

 那須高原にある洋食屋さんで、春樹と同じオムライスを食べた。窓の外に広がる山々や新緑を眺めながら。

 普通のカフェオレとオムライスでも特別なカフェオレとオムライスに思えた。


 私が春樹をテレビで見て「好き」と言うと、冬樹は「バカじゃねーの」とケラケラ高い音域で笑う。

 そういう時だけ、私の心をレントゲンで写し診て、アイドルなんてテレビや雑誌の中にしかいない存在だと、夢なんて幻だと、六畳のフローリングという冷たい現実を突きつける。

 冬樹だけではなく、きっとみんな笑うだろう。春樹は私より一回り以上年下のアイドルだから。

 でも、今言ったよね。

「僕がしてあげるよ」って。



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