密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~



『……うーん、眩しい』


 寝る前は必ず遮光カーテンを閉めているのに。

 そう思いながらまだ眠りから覚めていない重厚な瞼を開くと、朝陽が一気に降り注いできた。

 ミラーボールのようにキラキラ輝いている朝陽の目映さ。

 低血圧で365日ほぼ毎朝憂鬱なのに今日は晴れやかで最高な気持ち良さ。


『嗚呼、美しい。不思議の国みたい』

 なんて、どこかの王女様風に微笑んだ私の余裕がシューっと音を立て、風船のように一気にしぼんだ。



< 130 / 304 >

この作品をシェア

pagetop