密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~

 あんなに飲んだのに二日酔いにもならず、いつもは低血圧で365日ほぼ毎朝憂鬱なのに今日は晴れやかで最高な気持ち良さ。それってこの人のせい……。

 この人の───……。


「裸のまま見つめんなって」 

「わっ、わあっ、はい!!」

 急に恥ずかしくなって真っ白なシーツの海に潜り込んだ。深海に体を沈めるように。

 ほんのりいい匂いがする。シーツに残った美男子の匂い。

 その瞬間、私の中の暗黒に潜めていた欲求が動き始めた。朝陽を浴びて、性が目覚めたのだ。

 愛してほしい。意識がある今、私を愛してほしい。


 私は自らシーツを剥いだ。

 こんな事するなんて私らしくない。



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