密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 函館の夜景が宝石を散りばめたように綺麗だった。佐久間先生は男子に混ざって少年のように瞳を輝かせていたから、私はその瞳に映る夜景を見たいと思った。

 佐久間先生と二人きりで、またここへ来たいと、その時の風景を私はまだ誰にも触れられた事のない幼くて小さな胸の中で想像していた。

 高校生が担任の先生を好きになる。実話の小説でもドラマのようなフィクションでもよくある話だと思う。

 だけど、私の場合は少し違うかもしれない。

 恋より愛の方へ、愛と言うより愛情の方へ比重が傾いている気がする。



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