密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
告白しようと何度も思ったけど、できなかった……。普通に話せなくなるかもしれない。それが怖かったから。
二人を囲む『生徒と先生』という写真立てのような固い枠が外れる日まで待とうと決めた。
だから、ハタチの自分に宛てた手紙を卒業式の日にわざと提出しなかったのだ。
それにしても気づくのが遅い。
卒業式の翌日に呼び出されると思っていたのに。
呼び出されたら、奥ゆかしき教科書を破いて、蟻が並んだような辞書を閉じて、佐久間先生のその胸に無謀でもいいから思いきり飛び込んで告白するつもりだった。
二人を囲む『生徒と先生』という写真立てのような固い枠が外れる日まで待とうと決めた。
だから、ハタチの自分に宛てた手紙を卒業式の日にわざと提出しなかったのだ。
それにしても気づくのが遅い。
卒業式の翌日に呼び出されると思っていたのに。
呼び出されたら、奥ゆかしき教科書を破いて、蟻が並んだような辞書を閉じて、佐久間先生のその胸に無謀でもいいから思いきり飛び込んで告白するつもりだった。