密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 智久と会わない日にカロリーをセーブすればいいんだ。次のデートまでに五キロ痩せようと決めた。

 朝はバナナ一本とブラックコーヒー。

 お昼は会社にお弁当を持参。コンニャクときのこ類の煮物、海藻とブロッコリー、トマトのノンオイルサラダ。努力している姿を人に見られるのが苦手な私はそれを会社の裏にある公園でひとりでこっそり食べた。

 こっそり食べながらもケータイでカロリーを検索していたからすぐに充電がなくなって、家に帰ると充電器に走った。

 そして、センターに問い合わせ。

 智久からメールがきていると嬉しかった。すぐに返信した。

 
 夜は茹でたもやしと鶏のささみに和風ドレッシングをかけたものと冷奴。

 炭水化物は徹底して摂るのをやめた。


 エレベーターやエスカレーターには乗らず、階段を使うようにした。今まで自分が如何にラクな生活をしてきたのかがよくわかった。


 土日は公園の周りを早朝から夕方まで歩いたり走ったり。普段、汗をかかない分、どっと汗が出て、疲労感たっぷり。途中で幼稚園児に追い抜かれた。

 こんなに疲れているのに、お腹が空いて眠れない夜が続き、空っぽの冷蔵庫のうなりが低反発の枕に響いて気になる。

 薬箱の中にあった鎮痛剤に『眠くなる事があります』と、書いてあったのを思い出した私はその鎮痛剤を毎晩飲むようになった。翌日の仕事に差し支えないように、と。

 
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