密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 ホワイトデーには檸檬ジャムの入ったマシュマロをもらい、誓いのようなキスを学校の屋上で交わした。


 それが私の檸檬香るレアチーズケーキのようなファーストキスだった。


 プロのサッカー選手を目指している松重先輩は部活のない日も自主トレで忙しいらしく、どこかへ行こうと誘っても断られる事が多かった。


 日曜日にどうしても会いたくなって松重先輩の家へ行くと、松重先輩は私を笑顔で迎えてくれた。イヤがられたらどうしようと不安だったからものすごく嬉しかった。

 松重先輩のお母さんとも顔を合わせ、挨拶をして、ちょっと恥ずかしくて……。でも嬉しかった。将来、私のお母さんになる人だと思った。

 松重先輩とファミレスで檸檬ソーダを飲んだ。 

 その日は父と母が些細な事で喧嘩をしていて、家にいたくなかったから、松重先輩といられる事で私の曇っていた心が晴れた。

 些細な事で起こる喧嘩が本当にイヤだった。




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