密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
藤崎さんはオーラが見えるくらいの超美人。文化祭や体育祭の時には他校の男子生徒が藤崎さんを一目見ようとやってきた。
秋葉原を歩いていて、一日で五回スカウトされ、全部断ったという伝説もある。
藤崎さんなら美人だし仕方ない……。なんて簡単には諦めきれなかった。
顔やスタイルでは負けても私には私にしかないものがある。それがなにかは自分でもわからなかったけどマイナスだって二つ重なればプラスになる。
松重先輩、私のプラスの部分を見つけて。
その匂いが、柔らかい唇が忘れらないから。もう一度檸檬を。もう一度キスをと願った。
らくがき帳に『この願いが叶わないなら死にたい。泣いて、泣いて、もう疲れちゃった……』と書いてある。でも、死ななくてよかった。
恋愛には終わりがあるから始まりがある。