密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 ベッドで隣に寝ている亮の背中が冷たい。

 こっちを向いてほしい。こっちを向いてキスしてほしい。壊れるくらい強く抱き締めてほしい。

 その背中に手を当てて何度もそう願う。

 子供をつくる行為は子供をつくるだけのものではなくて、体と心を繋ぐものだと思う。

 最上級のスキンシップ。

 子供が産めなくても女でいたい。実らない花でもちゃんと感じられる蜜を備えた女でいたい。

 蝶となった亮が私の花に止まる。そして、黄色い花粉を纏い、黄金の蜜を吸う。

 そんな光景を深夜、夢の中で想像している。夢の中でしか感じられないこの身体……。



< 212 / 304 >

この作品をシェア

pagetop