密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 ストレスが溜まって、憂さ晴らしのような感覚で始めたチャット。知らない人との会話が新鮮で楽しかった。


 親しくしてくれる友人もできた。

 私が『入室』すると

『待ってたよ』

『遅いから心配したぜ』

『今日も会えたね』

 慈しむ、思いやりのある文字が携帯の画面に並んだ。

 そこには私の事を考え、待っていてくれる人が必ず誰かいた。

 私生活ではリサイクルもできない燃えないゴミのように必要とされていなくても、この世界では必要とされているんだ。私にだって少しは存在価値がある。

 ひび割れたマグカップのように体液が漏れ出す事もない。
 
 無理矢理分別しなくても無理矢理リサイクルしなくても私は私として生きていていいんだ。



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