密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 亮のお母さんには幼い頃から相談事もしてきたけど、身体の事は母にしかできなかった。

 黙っていたのは隠していたのと同じ事。本当に申し訳ない……。一生許してもらえないだろう……。

 その後、私の両親は希望ヶ丘の家を売り、今は下町の静かな所で暮らしている。親戚でもある亮のお母さんと隣同士の生活に母は疲れてしまったのだろう。会いづらくなり、たまに電話をかけても話は弾まない。

「もしもし、お母さん元気?」 

「まあ……、なんとかやってるわよ」

「お父さんは?」

「元気よ。真理は?」

「うん。元気だよ……」

「…………。」

「……じゃまた電話するね」

 申し訳ない事ばかりだ。

 結婚は愛する人とだけ家族になるのではなく、お互いの両親も家族になるのだと実感した。




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