密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
ある夜、私が先にベッドで横になっていると、お風呂上がりの亮がベッドに潜り込むようにして私の背中に触れてきた。
「……真理」
「ごめん、疲れてるの」
私はそう言った後、
「なんて、嘘」
と、亮の胸に飛び込んだ。
心が密にならないと身体に備わった蜜も帯びる事はないのだ。必死になって生きていないとなにも感じられない、形だけのモノになってしまう。ひび割れたマグカップのように。
知り過ぎているはずの亮の刺激に顔を紅くして恥じらう私。幼馴染みだった頃の桃のような心が蘇ってきた……。
「愛してる」
二人の口から同じ言葉が同じ瞬間に発せられた。
変わる事は怖いけど、私が勇気を出して変わった事で、長かった梅雨が終わり、私と亮の間に美しい虹が架かった。
一生消える事のない虹の橋。
【悲劇のヒロイン*END】