密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 夏が苦手。暑くて、息苦しくて。


 星という命に合図を贈る打ち上げ花火も、『冷やし中華はじめました』の癖のある文字も、ブルーの中に繊細な銀細工を散りばめたような海も、どれも魅力を感じない。

 夏の外出はなるべく控えたい。私の肌は白くて弱いから、日焼け止めクリームを丁寧に塗らないとヒリヒリ、ピリピリ痛んでお風呂にも入れなくなる。日傘は邪魔になるから持ちたくない。


 行くなら、静かで涼しい映画館か美術館、屋内がいい。


 そんな私が、向日葵に恋をした。

 背の高いあなたは、お日さまの光を浴びて、背を高く伸ばしている向日葵のよう。


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