密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
「あたし、一人でご飯を食べられないんですっ」
なんて言う内巻きカールの桃色アイドル系女子にちょっとイラっとくる。
私なんて、一人牛丼、一人ラーメン、一人回転寿司、一人焼き肉。どれだってなんて事はない。
お一人様は食べ終わったらすぐに店を出るから回転率も早いし、店にとってはありがたい客だろう。まさにお一人『様』だ。
威勢よくそう言えるけど、ほんのちょっと侘しい。ぽつんと一人佇んだ時の女としての切ない侘しさ。お一人様がラクなんて本当は臆病な言い逃れ。
人は人を必要としているのだから。
そろそろ、枝豆にも飽きたんじゃない? なにか話しません?
今、私は女としての切ない侘しさ限界五秒前。
四、三、二、一。
もう!!
私は枝豆以下って事?
ケータイ以下って事?
そんなに退屈なら、ケータイをいじるくらい退屈なら、私といてもつまらないなら誘わないでよ。
誘われると嬉しくてどんな場所にだって着いていく私が惨めじゃない……。
ケータイよりも私を見てほしい。
お互い毎日が忙しい中で、刻々と時間は過ぎていく。気づけば出勤時間で、気づけば残業。終われば深夜。同じ職場で同じ空間にいてもプライベートとは違う。職場は職場。浮わついた気持ちでお金はもらえない。
首を縦に振るだけでNOとは言えない日々。
歳を重ねれば重ねるほど、一年があっという間に感じる。
だから、こうして二人でいる時間を無駄にしたくない。
今、どうしても聞きたい事がひとつだけあるの。
『ねえ、誰とメールしてるの?』