密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 代わり映えのしない景色が続いていく高速道路。

 土曜の夜七時。日帰り温泉を出て高速に乗った。

 インテリでプライドの高い彼氏の龍平が助手席で眠っている。私の前でも少しはそれを見せてほしい。私は龍平のそういうところが好きなんだから。

 最近、龍平のプライドと私のテリトリーが折り合っていない。

 伏線を張っても回収されず事件現場のKEEPOUT。立ち入り禁止の線へと変わる。紫の大風呂敷は広げられたまま。


 日帰り温泉で一度は取り除かれた疲れが高速道路で上乗せされて身体が重くなる。

 慢性的な腰痛が一方通行で酷くなる。

 そんな渋滞を抜け、やっと速度をあげた。



< 249 / 304 >

この作品をシェア

pagetop