密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 翌晩、窓際の一番奥の席で龍平と一緒にコーヒーを飲んだ。

 これといった会話はなく、龍平は一人の時と同じようにコーヒーを堪能し、時々、経済新聞を開いた。

 その仕草のひとつひとつが好きだったから、退屈だとかつまらないとは思わなかった。


 夜、八時半。閉店時間になり、店を出た龍平と私。

 龍平はタクシーを止め、

「一緒に乗る?」

 と、聞いてくれた。

 私は笑顔で頷いた。




 それを毎晩繰り返すうちに、

「今夜は帰したくない」

 と、龍平に言われ、大人の交際へと発展した。




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