密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
孤独を感じた私はその五日後、もう一度、マーガレットを持ってお見舞いに行った。
「武内さん、また来ちゃいました」
「……実咲……ちゃん。龍……平くんは……元気……かい?」
ほとんど会話ができない状態で武内さんはそう言って私に手を伸ばした。私はその手を撫でるように握った。
「元気ですよ」
それが武内さんを見た最後となった。
三度目のお見舞いに持っていったマーガレットは「ナースステーションに飾ってください」と、看護師さんに渡した。
龍平は仕事が忙しいから、と一度もお見舞いに行かなかった。学生の頃からマーガレットに通っていたと言うのに。
「仕方ないよ」
龍平は再びそう言った……。
人には寿命がある。
それは私だってわかってる。祖父と祖母を亡くしているから。
それを仕方ないと言うなら、せめてお見舞いにだけでも行ってほしかった。武内さんは龍平が来るのを待っていた。だから私に龍平の事を聞いたんだと思う。
龍平は人と人の『縁』を『無縁』にする人なのかもしれないと思った。
マーガレットが閉店してから私の仕事終わりの一杯はビールへと変わった。
そして、今日へと至る。
「武内さん、また来ちゃいました」
「……実咲……ちゃん。龍……平くんは……元気……かい?」
ほとんど会話ができない状態で武内さんはそう言って私に手を伸ばした。私はその手を撫でるように握った。
「元気ですよ」
それが武内さんを見た最後となった。
三度目のお見舞いに持っていったマーガレットは「ナースステーションに飾ってください」と、看護師さんに渡した。
龍平は仕事が忙しいから、と一度もお見舞いに行かなかった。学生の頃からマーガレットに通っていたと言うのに。
「仕方ないよ」
龍平は再びそう言った……。
人には寿命がある。
それは私だってわかってる。祖父と祖母を亡くしているから。
それを仕方ないと言うなら、せめてお見舞いにだけでも行ってほしかった。武内さんは龍平が来るのを待っていた。だから私に龍平の事を聞いたんだと思う。
龍平は人と人の『縁』を『無縁』にする人なのかもしれないと思った。
マーガレットが閉店してから私の仕事終わりの一杯はビールへと変わった。
そして、今日へと至る。