密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 大体、日帰り温泉に車で行くという事は、運転手はお風呂上がりの一杯を楽しめないという事だ。

 龍平は自分がアルコールを飲まないから、その一杯の気持ち良さをわかってくれない。

 今日もお風呂上がりの私に

「はい」

 と、パックの牛乳を差し出した。このタイミングで渡すなら瓶の牛乳でしょ。


 渋滞にはまりロスした時間を取り返すように速度をあげる。

 龍平とロスしている時間を取り返すように速度をあげる。

 ああ、もう、この窓から高速道路に飛び降りてしまいたい。

 そうすれば、私の全ては終わる。

 本気で飛び降りようか。



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