密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 ただ単に妹の方が成績優秀で、見た目もかわいいからだと思っていたけど、中学生の時、父親が違うと知った。


 ただ単になんて言う理由ではなかったのだ。

 
 長期に渡って考えていた疑問の正式な答えがやっとわかった。わかったのに、まだ解けない問題のように身体中がもやもやしていた。

 割りきれない数字が角を尖らせ、途切れる事なく延々と続いた。


 家にいるのが辛くて原宿をさまようように彷徨いている時に声をかけられた。

「キミ、モデルやらない?」

 暇だったから私はカメラマンで佐伯と名乗るダンディーなその男に着いていく事にした。


 どうせ、ヌードモデルだろうと思った。私は痩せているけど胸だけは大きいから。


 あの頃の私はとにかく寂しくて、居場所が欲しくて。誰でもいいから声をかけて欲しかったのだ。



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