密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~



────疲れた目を擦り、ふと空を見上げると、星が綺麗だった。都心はすぐそこなのに、星が瞬いている。私の心で鳴っていたエンジン音が止まった。

 それと同時にドキッとするようなハスキーな声がした。

「綺麗だよね、星」

 私の横でコーヒーを持って星空を見上げている男性がいた。

 スリムな体に、中性的な顔立ち。私と同じように色が白くて綺麗な肌をしている。黒というよりグレーに近い色をした髪。茶色と翠が混ざったような瞳。

 まるで絵画から色彩を持って出てきたような人だった。




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