密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 黒い組織に潜む悪い大人たちは住む場所も与えてくれたから、路頭に迷う事なく、春夏秋冬、寒くもなく暑くもない単色な部屋にいられた。

 冷暖房完備も、ありがたかったけどそれより嬉しかった事がある。

 それは、毎晩、シャワーを浴びられる事。

 公園の水道で身体を洗っても、生理の時は『女の臭い』が身体中を纏わりつくようにベタつかせ、ナプキンもろくに取り替えられず、蒸れたそこは血液と汗でぬかるんでいた。その憂鬱さと生理痛で吐き気がした。

 単色な部屋はいくつも存在していて、私のように行く当てのない少女たちがそこで暮らしていた。

 個人的付き合いをシャットダウンして。

 それは、プライバシーなんていう気取ったものではく、黒い組織に手を貸している自分の罪を人に明かさないための仕切りのようなものだった。


 生活必需品は、各部屋に揃っていたし、家賃もいらない。仕事をすればお金ももらえた。



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