密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 ある日の朝、目を覚ますと国枝さんの姿がなかった。

 仕事に行ったのだと思い、私はいつも通り、朝食をとろうと、きつね色に焼けたトーストに銀色のスプーンで蜂蜜をとろりとかけた。

 その瞬間、『パンッパン』という乾いた音が聞こえた。

「!!」

 自分の心臓を撃たれたような衝撃。

 銀色のスプーンが蜂蜜に飲まれるように……ゆっくり沈んだ……。




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