密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 私には似合わない青空がどこまでも続いていた。

 永遠を思わせるほど続いていた。
 

 国枝さんが殺されたのは相手に隙を見せたから。私と暮らす事で張っていた気を緩めてしまったのかもしれない……。私は大切なたったひとりの人をなくした。

 だけど、泣いている余裕なんてなかった。

 涙を拭う暇があるならその分動かなくてはならなかった。

 銀色のスプーンは蜂蜜の中で帰る事のない住人をいつまで待っていただろうか……。



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