密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
ふわりふわり
視線の上、青い空のキャンバスに真っ白な雲が浮かんでいる。
身を寄せ合っているクジラのような雲が二つ、風で泳いでいく。
日曜の午前十時過ぎ。公園の芝生の上で寝転がっている私と晴斗。
ふわりふわり
とろんとろん
雲の流れに合わせて微睡んでいく。
空がたったひとつ、海がたったひとつしかないように雲の形もたったひとつ。
微睡みながら柔かそうなクジラの背に乗った。
クジラは言った。
「この空のどこかではミサイルが飛んでいるんだ」と。
そうか。そんな現実が存在しているんだ。
ミサイルを飛ばす余裕が、暇があるなら愛の種を蒔こうよ。愛を育てようよ。
それは無償の愛でなくてもいい。見返りを求めてもいいと私は思う。人間は戦争を引き起こす。無償の愛なんて言えるほど綺麗じゃない。
空がたったひとつ、海がたったひとつしかないように雲の形もたったひとつ。
命もたったひとつ。