密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 息を切らしながらこの坂を登る。

 ここは横浜。坂の上は閑静な住宅街になっていて、その住宅街を抜けた所に小さなパン屋がある。

 白い壁に水色の屋根。お洒落で清潔感があり、眼下に広がる横浜の風景にそれが絵画のように溶け合う。

 私はそのパン屋のクロワッサンが大好き。


 生地が細やかでヨーロッパのバターの風味と香り、サクサクとした食感が堪らない。焼き立ては勿論だが翌日でも変わらぬ風味が私を誘う。


 付き合って二年になる遼太郎もそのクロワッサンに魅せられてしまった。




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